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□トリコロール
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アレン・ウォーカー様は大変壮絶な経験をしておられます。
まだ若干15歳とは思えぬ程の人生の苦労を聞いたものは皆思わず涙を流しウォーカー様に畏敬の念を抱くのでした。
そして多少黒くなられるのは仕方ない、と思いウォーカー様の幸福を願うのでした。




そんなある日、ウォーカー様が恋をなされました。






「神田ぁぁぁぁぁーーー!!!!!待ってくださいぃぃ!!なんで逃げるんですーー!?」
「お前のその笑顔を見て逃げない奴はこの地球上に存在しねぇぇ!!」

ウォーカー様が恋なさったのは教団一の美人でキレやすさもbP、日本人神田ユウ君でした。

最初のうちは神田ユウ君も迫り来るウォーカー様を返り討ちにして教団の至る所で血祭りにあげていたのですが、何度半殺しにしても再び立ち上がり恐るべき執念と妄想力でじりじりと追い詰めてくるウォーカー様に恐怖を抱き、最近は防戦一方となっていました。


「大人しく僕のものになりなさい!!かわいそうな君に愛をめぐんでやります!!」

さすがウォーカー様。どこまでも上から目線でいらっしゃいます。

「お前のなんていらねー!!俺には待ってる人がいるって言ってんだろッ!!」
「だから誰ですか!!即刻潰しに行きます!!」
「お前に出来るか、モヤシ!!」


これはウォーカー様が神田ユウ君に求愛を始めたころからの謎でした。
神田ユウ君はいつも「待っている人がいる」とウォーカー様から逃げるのです。
しかし神田ユウ君が想いを寄せるような人物は教団内にはいません。
でまかせだろうというのが一般的な会見でした。




今日も首尾よく撒かれて、ウォーカー様は一人でやけ食いをなさっていました。
「僕は悲しいです…神田。僕はフェミニストですからね、乱暴な手は使わずに穏便にことを運びたかったんですよ」

周囲の人はストーカーって穏便な行為だっけ!?と頭の中の記憶を回顧しておりました。

「君が悪いんですよ♪」






翌日。
いつ何時ウォーカー様に襲撃されるかわからない神田ユウ君は周囲の状況を窺いながら大好物の蕎麦を求めて食堂へやってきました。
今日はウォーカー様はいらっしゃらないようです。神田ユウ君はゆっくりと蕎麦を堪能したのでした。





自室へ戻り、六幻を磨くか…とベッドに座った時に。不意の違和感。
「何…!?」
「あ、効いてきました?科学班の皆さんに協力してもらった特性痺れ薬です☆」

ベッドの下からもぞもぞとうじ虫の如く這い出してきたウォーカー様に神田ユウ君は絶句しました。


「これで準備万端です!!さ、ヤりましょうか」
爽やかな笑みを浮かべながら凄まじいことをさらりと言ってのけるウォーカー様。
もう誰も逆らえません。


神田ユウ君の純潔は風前の灯です。

ウォーカー様が哀れな生贄の上にのしかかり、美味しく頂こうとしたその時。




突然、ドアが爆音をたてて砕け散ったのです。


「しばらく留守にしてたからな…悪い虫がついてねぇか急いで見てみたらこのザマだ。この馬鹿弟子、さっさと俺の所有物から離れろ」

「師匠ッ!?」
「クロス…遅いッ」

神田ユウ君の「待っている人」はどうやらあのクロス元帥だったようです。
クロス元帥はウォーカー様を引っぺがして神田ユウ君を保護しました。
「俺以外に触れさせるなって言っただろう?」
「うるせぇ…モヤシが薬盛りやがったんだよ」



クロス元帥の出現と無愛想ながら喜びを隠しきれていない神田ユウ君にしばし我を忘れていたウォーカー様が正気に戻り異議を唱えます。


「僕だって神田狙いなんです!!師匠大人なんだから譲って下さいよ!!」
「遊びだったら譲ってやった。けど俺も本気なんだ。諦めろ」

クロス元帥の首に手を回して嬉しそうにする神田ユウ君はウォーカー様を魅了するには十分すぎて。


ウォーカー様は決心なされたのです。



「わかりました。だったら、奪います!!!!」









青、白、赤のトリコロール。
白が邪魔してくっつけないの!!

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