ひらりひらりと舞う初々しい桜の花びら。
その花びらが敦盛の髪の毛に乗る。
そんなわずかな振動でも揺れ動く敦盛の髪の毛。
当の敦盛は、桜の木の下でまるで猫のように丸まって寝ている。
すぅすぅと、規則正しく揺れ動く。
『あつもり……』
オレはゆっくりとその場に跪くと、敦盛の頭をそっと撫でた。
「んぅ……」
敦盛は身じろぎしただけで起きる様子は全く無い。
じゃらり、と、敦盛の首の鎖が揺れた。
忌々しいその鎖は、鈍い色を放ちながらまるでオレを嘲笑っているようだ。
『……目障りだね』
オレはイラッとしつつも、その鎖に手を掛け、ゆっくりと口をつける。
『もし、お前がいなくても敦盛が平気なら、すぐにでも引きちぎってやるのにね。』
くすり、と、嫌味らしく鎖へ笑うと、また敦盛の柔らかな髪の毛に手を掛ける。