ゲーム系SS
□Magi Knight
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眠らない街。
大黄金時代にして大混乱時代の大暗黒時代。
それはきっと。
たとえ積み上げてきた歴史が違っても変わらないのだろう。
光差すところに闇はある。
表裏一体。
巨大な光とも言えるこの街からは、たとえ小さくとも闇が消えることはない。
その街は、アーカムシティと呼ばれていた。
「うわぁ。話には聞いていたけど…… 実際に見るのと聞くのじゃ大違いね」
黒髪のツインテールの少女が、空を仰ぎ見る。
赤毛の少年と金髪の少女もつられて空を見る。
ビルとビルで狭まった空。
空気が重く立ち込めていないのが不思議だと感じるほど、ソレは狭かった。
「本当、すごいな」
赤毛の少年が同意し、視線を空から地上に戻して荷物を持ち直した。
「凛たちはこのまま大学に行くのですよね?」
「ええ。セイバーは先に下宿先へ。地図は持ってるわね?」
金髪の少女が黒髪の少女に声をかけ、凛と呼ばれた黒髪の少女は金髪の少女に指示を与えた。
セイバーと呼ばれた、もう1人の少女は小さく頷く。
その頷く動作を確認し、赤毛の少年が口を開いた。
「じゃあ、一旦ここで別れよう。授業が終わったら、まっすぐオレ達も下宿先に向かうよ」
「はい、シロウ。凛も。気をつけて下さい……危険は何処にでも転がっています。しかも、あなた達の向かう処は"第二の時計塔"…… あそこは」
セイバーは声を潜める。
当然だ。
ソレは、声を高めて言っていい内容ではない。
なぜなら、そこは。
「……魔術師の集う学園なのだから……」
そんなこと。
間違っても言いふらしてはいけないのだ。