恋のステップアップ
□恋をしてみよう
3ページ/3ページ
クリクリの目に赤いほっぺ。
俺ははじめて地上に舞い降りた
天使
を目撃した。
女の子は俺をみて驚いた顔をしたあと、慌ててこちらにかけよってきた。
「ご、ごめんなさい!」
「…わ、いや、こちらこそ」
急いでいて…だなんて眉毛をさげる彼女はやはりどうみたって天使だ、あぁ間違いない。
ハッとしたらやっと今の状況を自覚して、今度は俺があわてて立ち上がった。
「怪我はない?」
「あ…はい、大丈夫です」
「そっか」
安心してわらってみせたら、彼女はいきなり顔を赤くして目線をふせてしまう。
やはり怪我をしていたのかと口をひらきかければ、言葉は彼女からでたそれによってさえぎらた。
「…あ!ズボン、汚れちゃってる」
オロオロする彼女に大丈夫だよと伝えたら、ホッとした顔でポケットからハンカチをだしてさしだしてくれた。
「これ、よかったらつかって下さい」
「…え、でも」
「それじゃ、すみませんでした」
パタパタとまたかけていく彼女を見送って、俺は名前を聞かなかったことを少しだけ後悔した。
手ににぎる白いレースのハンカチに、淡いピンクで彼女のイニシャルが刺繍されていることも気付かずに。
そう、おれは。
桜は咲いてないし彼女は何年だかもわからないしハンカチなんて借りてしまって色々違うけど。
確かに今日、今、この瞬間。
後ろで山ちゃんが「うっそぉ」だなんて呟いているのも知らず、
彼女に恋をしました。
step1!
恋をしてみよう
(山ちゃん、俺恋した)(運命ってあるのか…)
*