†読みきり小説†

□燈s思議(すけべ)な国の裕二
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「浩二…」
思わず見つめる裕二にフッと笑うと、浩二は裕二をフワリと抱き上げ立ち去りかけます。
「ぐ、ぐぞぉ…じみずぅ…」
慌てて壁から抜け出そうとする荒木に…

 ベチャ!!ベチャ!!!

「ぶふっ・・・!!」
更に二つのパイに襲撃され、荒木はとうとうノックアウトされました。
「口ほどにもねぇ…」
もう一度フンと鼻を鳴らすと、浩二は裕二を抱いたままお菓子の家を後にしました。


「ね、ねぇ浩二、何処行くの?」
見上げる裕二を無視したまま、浩二はどんどん歩いて行きます。
道端には沢山の動物たちが居て、浩二にお姫様抱っこされている裕二を見て皆クスクス笑っています。
(サルやクマ、シカにリス…小鳥まで俺を見て笑ってる!は、恥ずかしいっ…)
「ねぇ浩二、下ろして…」
「・・・・・・・」
「下ろしてっ…下ろしてよぉ!!」
顔を真っ赤にし叫びながら裕二が足をバタつかせると、浩二はやっと裕二を大きなキノコの上に下ろしました。
「ありがと浩二、俺を助けてくれて…」
笑顔で礼を言う裕二を、浩二は無言で見つめています。
「浩二、俺やっと分かったよ。此処は《不思議の国のアリス》の世界なんだね、俺一度読んだ事あるよ!お前は‘チェーシャねこ(知恵者猫)’で、俺を導いてくれるんだよね?」
「・・・・・・」
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