†読みきり小説†

□£裕二のお料理教室£
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「横山。」
バレンタインが押し迫った週末、裕二は和則に呼び止められた。
「あっ七瀬、どうしたの?」
裕二が尋ねると和則が顔を紅くする。
「…な、なぁ横山って浩二にチョコとかあげるのか?」
「えっ、チョコって?」
「いや、だからあの…バレンタインのさ…」
その途端裕二が叫ぶ。
「あっ、すっかり忘れてた!!」
「えっ・・・・・」
「どうしよう七瀬、俺すっかり忘れてたよバレンタイン!やっぱ俺は一応彼女だから浩二にあげなきゃだよな…あー、どうしよう…何買おう…」
「お、おい横山…」
あーでもないこーでもないとブツブツ言う裕二を見て和則は思う。
(バレンタインを忘れてたのか横山…横山って案外おっちょこちょいだなぁ。)
「よしっ、明日は土曜日で学校休みだし家で作ろう…なら材料買わなくちゃ!」
裕二はそう言うと立ち去りかける。
「あっ横山、ちょっと待ってくれよっ…」
和則は慌てて追い掛けると手を掴む。
「あっ七瀬、そういや何か用だった?」
(横山って案外自己中なのかな?)
「あ、あのさぁ…実はもし良かったら俺にもチョコ作り教えてくれないかな?」
「えっ、七瀬がチョコ作り!?誰にあげる…あっ、もしかしてやまぐ…」
「…蜷川にあげようと思ってんだ。」
「えっ、蜷川に!?」
裕二が驚きの声を上げる。
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