†REBIRTH〜再生〜†

□衝撃
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―裕二が転校してきてから半月余り…梅雨の季節を向かえ、その日の朝も浩二は和則と二人、傘をさしながら登校していた。他愛のない話をしながら二人は学校に向かう坂道を登って行く。ふと道の片隅に目をやると小さな白い花が一輪咲いていた。浩二はその花の前で足を止める。花は雨に打たれ小さくフルフルと震えていた。
(早瀬みたいだ…)
浩二はその花の前にしゃがむと手で雨を振り払ってやる。するとソレはまるで助けを求めるかの様に浩二の手に寄り掛かった。その途端、浩二はまた裕二の涙を思い出す。
(早瀬、俺が助けてやる…)
浩二はその花を優しく摘み取るとハンカチを出し水滴を拭き取る。
「何やってんだ、浩二?」
和則が近寄りハンカチを覗き込む。
「何だその花?見た事ない花だな…そんなモン拾ってどうすんだ?」
「うん、ちょっと…」
浩二は和則にそう言うとその花を制服の胸ポケットにそっと入れてやる。
「何だよ浩二、ポケットに花なんか刺しちゃって…まぁいいや、行こう!」
そう言うと和則が歩き出す。
「あぁ…」
浩二もまた坂道を歩き始めた。
「もう寒くないだろ、早瀬…元気出せよ。」
浩二は胸ポケットの上から花を優しく撫でながらそう呟いていた。
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