†秘密遊戯†

□人形の涙
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「どけろっ、裕二!!」
裕二は肩を押され転んだ。その途端何かがぶつかる音がする。
「えっ…!?」
驚いて裕二が振り向く。
「あっ…こ、浩二!?」
視線の先には浩二が倒れている。
「浩二…なぁ浩二、大丈夫か?」
裕二が近付く。浩二の体を起こそうとすると手に何かが付いた。見ると、裕二の手の平が真っ赤に染まっている。浩二は頭から出血していた。
「あ…浩二…しっかりしろよ!今、血を止めてやるからっ…」
裕二はズボンのポケットからハンカチを取り出すと傷口に宛う。ハンカチがみるみる真っ赤に染まる。
「あ…あ…血が…血が止まらないよ…俺どうすりゃいいんだよ…浩二ぃ…」
裕二の瞳から勝手に涙が溢れ出す。その時浩二が手を握ってきた。
「あ…浩二、俺が分かるかっ…大丈夫か!?」
裕二が尋ねる。浩二は笑ってこう言った。
「裕二…怪我はないか?何処か痛いのか?泣いてるじゃねえか…」
「浩二…」
「顔に怪我してないか?…綺麗な顔にキズが付いたら大変だからな…」
浩二が裕二の顔に手を伸ばす。
「な、何言ってんだよ…自分の方が大怪我してんのに…人の事心配してる場合じゃないだろ?」
裕二は念わず浩二の手を握った。
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