†秘密遊戯†

□正義の味方
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「あ…あの、では誰か推薦してくれませんか…」
上村がそう言った時だった。
「お前がやりゃいいだろうがよ、上村。」
クラスメートの一人が言う。
「そうだ、そうだ!クラス委員なんだからお前がやれっ!」もう一人が同調する。彼らは荒木と山中と言う生徒だ。二人とも素行が悪く、教師の間でも問題になっていた。
「分かったな、上村?じゃそう言う事で…みんな帰ろうぜ。」
そう言うと、荒木と山中が席を立つ。
「…ちょ、ちょっと待ってくれよ。あと二人決めないと…」
上村がそう言いかけると、荒木が近寄り上村の胸ぐらを掴む。
「てめぇが一人でやるんだよ!委員長なんだからよぉ。」
「いいぞ、荒木。もっと言ってやれっ!」
山中もそう言い、上村に近付く。二人は上村を小突き始めた。裕二はそれを見ていたたまれなくなる。しかし、他の生徒は皆見て見ぬふりだ。
(…どうしよう、上村を助けなきゃ…)裕二はそう思ったが、なかなか二人を静止する勇気がない。上村は委員長をしているが、それは入学時に担任が勝手に決めたものだ。どちらかと言うと大人しい生徒で、クラスをまとめる力は無い。実際このクラスで一番の権力者は言わずと知れた浩二だった。裕二は隣の席の浩二を見る。
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