†秘密遊戯†

□日記
2ページ/24ページ

「じゃあ父さん、仕事に行ってくるからな。」
「うん、頑張って…」
裕二が言うと、父は笑って背を向ける。
「裕二…」
父はドアの前で立ち止まると裕二の名を呼んだ。
「・・・・・何だよ、親父。」
「…裕二お前、辛い事があるならいつでも相談しろよ…父さんに出来る事なら何でもしてやるからな…じゃあ行ってくる」
父はそう言うと部屋を後にした。
「…親父、ゴメン。」
裕二はそう言うと天井を見つめた。
裕二が自分の顔を傷付けてから3日が経っていた。あの日裕二は自らの顔を切り付け、路上に倒れ込んでいた。たまたま通り掛かった人が裕二を見つけ、救急車を呼んでくれたのだ。裕二の顔の傷は大したことは無かった。だが貧血と精神的な疲労があると診断され、暫く入院を進められた。裕二の担当の看護婦が、裕二の顔のガーゼを変えながら
「あなた、傷跡が残らなくて良かったわね!こんな綺麗な顔なんだもの、大事にしなくちゃね!」
と言った。他の看護婦や入院患者、医師までもが裕二を見る度
「綺麗な子だねぇ…」と言って裕二を見る。裕二はそれが我慢出来ず、「病院は嫌いだ」と父親に頼み込んで一日で退院した。裕二は暫く自宅療養する様に言われた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ