NOVEL
□第2話
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ドゴッッ!!
「いったぁ!奏音、相変わらず私にはヒドいですね!」
俺は日崎に蹴りを入れると、思いっきり睨みつけた。
「いきなり抱き着くなって何遍も言ってんだろ!しかも、今は人がいたじゃねーか!」
どうしてくれるんだ!
だいたい、コイツの強引なアプローチのせいで変な噂まで流れている。
『ボロアパートに引っ越してきたイケメンは、安堂 奏音と付き合っている。』
「お前のせいで、変な噂まで流れてんだぞ!なんとかしろよ!」
「いいじゃないですかー。こんなイケメンと付き合ってるって言われてるんですから。」
「自分で言うなーー!!!!!」
…………イケメン?
こんなやつ、ただの変態変人馬鹿男だ!!!
「怒った奏音も可愛いですね♪」
ニッコリと笑って言う日崎。
「あっ、また赤くなりましたよ。」
そう言って、頭をなでてきた。
「うるさい!!!」
俺はその手を払いのけると、足速に掃除道具を置きに行った。
…………日崎の言葉に赤くなってしまう自分が嫌いだ。
大嫌いだ。
『可愛い』なんて言葉、言われるのに慣れてないから嫌でも顔が赤くなる。