NOVEL

□第4話
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どうしたんだよ、アイツ。

もう、夜遅いのに。


「日崎君に、なんかされたのか?
………もしかして、キスとか?」


グッサーーーッ!!


図星と書かれた矢が、俺にささった。


「い、いきなり何言ってんだよ!?」


「その様子だと、図星みてぇだな。」



………藍田の言葉で、やっと現実に引き戻されたみたいだ。




俺のファーストキスは、


日崎に奪われた。




ファーストキスがどうとか、そんな女らしいこと、俺は全く気にしてない………



そう、思ってた。



……やっぱ、俺も女なのかな。


だけど、不思議と拒絶はしてない。



それどころか、嫌だとも思わなかった。



……な、なんでだろう。


その気持ちが、余計に俺の思考を狂わせていく。


俺は、もしかして軽い女?


でも、日崎以外の奴とだったら………


考えてみる。



………嫌だ。


ど、どうしてなんだろう。


どうしてどうしてどうして!


でも、一つ嫌だったこと。

やっぱ、それは一瞬にして終わったこと。

いきなりだった。


なんかこう、もっと、ファーストキスはロマンチックなものだと思ってた。

心のどこかで。



………って何考えてだよ、俺。
気持ち悪い。


でも、こう簡単に奪われると、やっぱ気に食わない………。


「おい、安堂!
何さっきからボーっとしてんだ?」



「………藍田。」


「ん?」


「俺、アイツ探してくる。」


そう言った俺を見て、藍田は驚いている。


「………ダメだ。
お前、熱あるんだぞ?」


「だけど、今探さないと……。」


アイツ、何しでかすか分からない。


「ごめん!本当ごめん。わざわざ看病してくれたのに………
今度、好きなだけおごるから!」


そう言って、出て行こうと立ち上がった俺を……







藍田が抱き締めた。



「え!?ちょっ、ちょっと!!
じ、自分で立てるよ!?」


いきなりの出来事に、テンパりまくっている俺の耳元で、藍田は呟いた。




「………いくな。」



「……え、え!?」



「いきなり、キスするような男の所になんかいくなよ。」


こ、これって……。

完全に、藍田も日崎のことを敵視してる?


「な、なんで……。」
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