REBORN!

□居場所
1ページ/1ページ




並盛中最強にしてボンゴレ雲の守護者である黒猫は、今日も擦り傷が多数ある様子。そんな彼に近付き手当てする影がひとつ、応接室にあった。







「…今日の傷はどこでどうしたの、恭弥」

周囲の目から見えるのは至極優しく問う沢田の姿。しかし雲雀にはその声色が怒りを含んだものだと理解するのは容易かった。ここの所多人数で学校周辺に屯する馬鹿な余所者を片っ端から咬み殺しているがための傷なのだが、幾ら多人数とは言え擦り傷ひとつであろうと付けられてしまった事が雲雀のプライドを傷つける。それを手当している目前の恋人に告げるなど何が何でも回避したい事だった。その上何故だか機嫌まで損ねてしまった様子、どうしたものかと首を捻っていた。


「傷って程じゃない。‥‥沢田、」

ソファに腰掛け俯かせていた顔を上げて沢田を見遣ると滅多にない冷たい目線とぶつかった。
何で…?
頭を支配する疑問は次いで一言囁かれた彼の言の葉によって解かれる。

「‥貴方は誰のものなんですか」



ぶる、と体が震えるのを感じた。溜まらずソファの前に跪く姿に手を伸ばすと、ひとつ溜め息と怒りが抜けるような笑みの後背に手を回して胸板へと抱き留められた。

柔らかな抱擁は雲雀を包み込み、辺りに甘い雰囲気を漂わせていた。


「…綱吉、だけだよ」
「当然です。…最近夜にふらふらしてるらしいし…恭弥可愛いから心配なんですよ。」

今だって恭弥に触れた奴に対して腸煮えくり返ってるんで、と笑顔で言う沢田に思わず笑った雲雀。




気紛れな黒猫が執着する只一つの居場所は

  愛しい彼の腕の中。



     end.

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ