■メモ小説1■
□待ち合わせ
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もう3月だというのに冷えるな。
そんな事を考えながら歩いて行くと、差し掛かった十字路にヒラリと黒い布が見えた。
「あ」
思わず声が出そうになって命は自分の口を手で覆う。
黒い布ははたはたと揺らめき、どうやら何かが道に隠れているらしいことを知らせる。
命は吹き出したいのを堪えて十字路の前にある小さい路地に入っていった。
スルスルと進んで路地から出ると、丁度、黒い布の正体の背後にでた。
やっぱり…
命は小さく笑うとそーっと近づいてから息を大きく吸い込んだ。