■メモ小説1■

□ネクタイ
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「いっいったああぁっ」
望が蹴られた腹とぶつけた頭を抱えて立ち上がった。
「ど、どこの世界に恋人同士のセックス中に蹴りをいれる人がいるんですかっ」
「恋人とかセックスとか平気で言うなっ」
お互いにハァハァと息をあらげながら睨みあう。

暫くそうしてから命が軽くため息をついた。
「望、お前今日怒ってるだろう。」
「…別に。」
「話したくなけりゃ理由は聞かないが、不機嫌の八つ当たりで抱かれるのは御免だ。」
「…!悪いのは命兄さんでしょう!」

は?
思わず間抜けた声をあげた命の足の間に入り込んで、望は命を上目遣いに睨んだ。

―しまった。そこだと蹴れない。
命がそんなことを考えていると望は睨んだままポロポロと泣き出した。
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