■メモ小説1■

□勝負
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「しゃあないなぁ」
木野が文句を言いながらも本を抱える。
何だかんだで、いいやつなんだと思う。

「ありがとう。助かるよ。」
笑って見せると木野が照れながらヘヘヘッと笑った。
素直だなぁ。なんだか見てて微笑ましくなってきた。

司書室に入って本を整頓してると木野が僕の肩を叩いた。
「で、何の勝負する?」

―意外としつこい。
思わずため息が出た。
木野を見ると子犬がパタパタとシッポを振っている姿が重なって見えた気がした。

これはもう、何か簡単に済ませて終わらせないとキリがないな…。

う…ん。どうしようかな。
思案する僕を木野がワクワクと見つめてくる。
だから、近いよ。
なんだか、ちょっと、ドキドキする、気がするし。

そんなことお構い無しの木野を見ていたら、ちょっとしたイタズラが思い浮かんだ。

「僕が決めた勝負でいい?」
「おぅ!構わないぜ♪」
木野の目がキラキラと輝いた。
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