■メモ小説1■
□勝負
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「勝負は、キス。」
僕はシーッと静かにさせるように人差し指を立てて口に当てた。
「きすぅ?」
木野が間抜けた顔をした。
「そ。誰とでもいいよ。先にキスをした方の勝ち。」
「なんだよ、その勝負っ」
「…木野が勝てないと思うなら、やめてもいいけど?」
「なっ…負けねーよ!その勝負、受けてたつぜ!」
やっぱり簡単にのってきた。
単純でかわいいな。でも、すぐに終わらせるよ。
僕は木野にわからないようにクスリと笑った。
「はい、じゃあ今からね。スタート!」
そう言うと僕は木野の腕を引っ張った。
「うわっ」
バランスをくずして倒れそうになった木野をだきよせて―
ちゅ
キスをした。
あれ。木野の唇って結構柔らかい。
ちょっと、気持ちいいかも。
「ん、わっ何すんだよ!」
木野が真っ赤な顔をして僕の肩を押した。
…もう少ししてたかったのにな。
「何って…勝負だよ。僕の勝ち、だね。」
ニコリ。微笑んだ。