■メモ小説1■
□勝負
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「ず、ズルイぞ!久藤!」
「何が?」
僕は別に何もズルはしてないんだけど。
木野は赤い顔のまましばらく口をパクパクさせてから意を決したように僕の両肩を掴んだ。
あ。と声をあげる間もなく、今度は木野が僕にキスをしてきた。
なんで?
考えていたら唇を割って木野の舌が入ってきた。
ゾクリ。
身体に何かが走り抜けた。
木野の舌が僕の舌にからみついて、ピチャピチャと水の音がする。
わ。どうしよう。これ、気持ちいい…。
抵抗を忘れてされるがままになっていたら、木野の方から唇を離した。
「き、キスって言ったらこーゆーのだろっ俺の勝ちだ!」
真っ赤な顔をして木野が言う。
…ばかだなぁ。
勝負に勝ちたくてこんなキスをしたの?
木野の呼吸がいつもより少し荒い。多分、僕も。
…ばかだなぁ。木野。
シシュンキのオトコノコが、こんなことして…こんなことだけで我慢できるわけないじゃないか。
僕は木野を抱き締めた。