■メモ小説1■
□ネクタイ
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「望、何を考えているんだ?」
覆い被さるようにしている望を下から命が睨んだ。
「…別に。いつものことじゃないですか。」
望が睨み返す。
「どこがいっ…たっ」
起き上がって抗議しようとした命にひっぱられて診察台がガシャッと音をたてた。
命は両手をネクタイで頭上に一纏めにして、診察台に縛りつけられていた。
「あんまり暴れると手首に跡がついちゃいますよ?」
望がクスッと笑って命の耳たぶを軽く甘噛みした。
「んくっ」
命の身体がビクンと跳ねる。
「カワイイなぁ、命兄さん」
望が笑いながら命の頬に手を当ててキスをしようとした―その時。
「…っのバカッ」
バキッ
体勢を変えた瞬間に出来たスキを狙って、命は望をけりとばした。