■メモ小説1■

□ダウト
1ページ/5ページ

「望…」
気だるそうな命が望の部屋に入ってきた。
「命兄さん、大丈夫ですか?」
「…あまり。」
命は襖に持たれたまま俯いている。
「完璧に二日酔いですね。」

ここは糸色家の本家。
望より一足早く帰省した命は景に捕まって夜中まで酒を飲まされたのだった。

「そうらしい。」
命は力無く笑う。
「寝ていた方がいいですよ。」
望は命を抱くように支えた。
「そうする。ただ、昨日、介抱してくれたのが望と聞いたから…礼を言いに来たんだ。ありがとう。」

なんて律儀な。
今にも倒れそうなのに。
望は少し笑った。
「なんだ?」
「いえ、命兄さんらしいなと思って。」
「なんだそりゃ。」
命も少し笑ったがすぐに顔をしかめて頭を抱えた。

「とりあえず横になってください。水を持ってきます。」
望はゆっくりと布団に命を寝かせると部屋から出た。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ