無期限で君を下さい
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キーンコーンカーンコーンと、今日1日の授業を終わらす鐘が鳴った。ふぅ…と一息吐き、帰りの支度をしながら自分の隣をチラッと見る。
ワカメ君が器用に寝ていた。(少しイビキが五月蝿いかも…)
ワカメ君とは、まさかの同じクラスでしかも隣の席だ。
(いや…同じクラスなのは当たり前か…。同じクラスじゃなかったら入学式の時席近くないし、隣の席だと知った時はビックリしたけど)
帰りの支度を途中で止めてそんな事を考えているとふと目の前に影が出来た。いつの間にか俯いていた顔を上げて見ると目の前に担任が居る。
「コラ、切原」
担任は手に持っていた名簿で切原と呼んだ男の頭を軽く叩くとパシッと小気味のいい音が響いた。切原はまだ少し眠そうに起き出した。
「……んぅ…?」
「お前、授業中ずっと居眠りしてただろう」
(寝てた寝てた。イビキ聞こえたし。)
「…あ!!」
切原が突然声をあげる。彼の目線は時計に向かっていた
(…?どうしたんだろ?)
「ぬぁー!やっべぇ…!」
切原は慌てたようにそう言うと自分の席を立ち、隣に掛けてあったテニスバックを背負い何処かへ行こうとした。が、それは担任によって失敗に終わった。何処かへ行こうとした切原の襟首をすかさず掴む担任に思わずお見事!と言いそうになるのを堪える。
「おい、待て。話しはまだ終わってないぞ」
「すんません俺、すんげー大切な用が合るんで」
担任は切原の襟首を掴んでいる手を離すと笑顔で言った
「先生もお前にすんげー大切な用があるんだ」
そう言うと担任は一枚の紙を取り出し切原に突きつけた。
(うわー…。0…)
軽くこちらにも見えたソレはどうやら英語の少テストの結果で、その点数は0点だった
切原の呻き声に似たような声を聞いた後、私は席を立った。これ以上ここに居ても仕方がないので帰ろとしたら
「まて、北城」
担任に呼び止められてしまった
(あれ?何かいやな予感が…)
「先生、私これからスッゴい大事な用があるんです」
そんなの勿論大嘘だ。ついさっき切原が言ったことと似たようなことを言ってしまった
「そうか、先生もスッゴい大事な用があるんだ」
…確実にいけない方向に進んでる気がする…。それにこんなやり取り今さっき見たよ。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ…!
(何とか乗り切れ自分…!)
そんな思いも虚しく担任は一枚の紙を私に突きつけた
「…数学…2点…」
*バカ2人
((あぁ…隣に居るワカメ君の視線が辛い…))
((うわ…何て思ってごめんねワカメ君…。私も似たようなものでした…。))
((そう言えばワカメ君の名前は切原なんだ))