銀魂
□告げる
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放課後の教室に二人きり。
しばらく私と話していた沖田は、時計を見ると立ち上がった。
「そろそろ帰りまさァ」
「あ、」
「また明日」
ここでいつもの私なら、また明日と返していただろう。
けれど何故か今日は違った。私は慌てて沖田の制服の裾を掴み、沖田が帰ろうとするのを止めたのだ。
「……好きです」
しかも、ずっと心の中で温めていた恋心を打ち明けてしまったのだ。
自分でも、どうしてそんな突発的な行動に移ったのか分からない。
けど、今、こうしなければいけないと思ったのだ。何故か。
「……」
「……」
沈黙。気まずい。
沖田は表情を変えずに私を見つめ、私は沖田と対照的に切羽詰まった表情をしていることだろう。
数分間、見つめ合っていたが、沖田は先程まで座っていた椅子にまた腰かけた。
その目は私を捕らえたまま。
恥ずかしいのに、今にもここから逃げ出したいのに、私も沖田の目をジッと見つめていた。目を反らすことが出来なかった。
「俺……」
沈黙を破ったのは沖田の方だった。
沖田は私から目を反らし、窓の外を見ている。私はそんな沖田の横顔をジッと見つめて、次の言葉を待った。
「知ってた」
「えっ」
耳を疑った。
今、沖田は確かに“知ってた”と言った。この状況で沖田が“知ってた”ことは1つだろう。
そう。
私が沖田のことを好きだということだ。
いつから?
どうして?
様々な疑問が頭の中を駆け巡る。
自分で言うのも可笑しいと思うが、私は結構そういう感情を隠すのが上手い。なので、一番仲の良い友達も私の気持ちは知らない(はずだ)。