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□僕の光、貴方の光(完)
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ーじゃあ、行ってくる

それが貴方の最期の言葉だった。








恭弥、どうしてそんなに哀しそう顔してるんだ?

ーわからない

俺が何も言わずにイタリアに行っちゃったからか?

ー…それもそうだけど、貴方はどうしてそんなに離れていくの?

それはな、恭弥。
もう行かなくちゃならないんだ

ー…ふーん…。どこに?

遠くて誰もが必ず行くところ…かな。

ーイタリアじゃない?

イタリアじゃないよ

ーねぇディーノ、どうして泣いているの?

…わかんねぇ。わかんねぇけど涙が止まらないんだ。
なあ、恭弥…
どうすれば止まると思う?

ーそんなこと僕にわかるわけないでしょ

フッ…そうだよな…
そうだよな……

ーねえ、僕が涙を止めてあげることはできるの?

…できるさ、恭弥なら。
それにお前でしか俺を泣き止ませることは出来ないよ。

ーそう…。


ぎゅっ、と抱きしめてあげる。
あのディーノが、震えている。
あのディーノが、泣いている。
なんだか、僕まで哀しくなってきた。


ーねぇ、どうしたの…?

…ょ…や…きょ…や…恭弥…大好きだ。愛してる。

ーうん。

離れたくなんかねぇよ…
まだ、まだ恭弥との思い出をいっぱい作りたいんだよ…

ーディ…ノ…?

……なあ、恭弥。
恭弥は俺のこと好きか…?

ー…うん。

俺のこと、絶対絶対忘れないか…?

ーディ…ノ?ど…した…

頼む恭弥…俺…俺のこと…俺との思い出を…絶対に忘れないって…約束してくれ…

ー…約束、するよ
ねぇディーノ…ディーノこそ僕のこと好き?忘れない?

あ…たり前だろ…

ーねぇ、笑ってよ

…ッ!

ー僕を、抱きしめてよ。

……恭弥…

ー僕から離れていかないで

あぁ…

ー僕が、貴方の光になる。

……

ーだから笑って。

…恭弥…


どこからか鐘の音が聞こえる。


じゃあ…恭弥…
そろそろ行かなきゃだ

ー…うん

また、会えるよな。

ー…うん

恭弥、大好きだ。

ー…うん

本当に、本当に、愛してる。

ー…僕もだよ。

恭弥…またな。

ー…ディーノ…

じゃあ、行ってくる











ミードリタナービクーナミモリノ-…♪

応接室で居眠りしていたら突然携帯がなった。

今日はとてもいい天気だというのに、なぜだろう…僕の胸がやけにざわついている。

「ディーノかな…」

ディーノは一週間前にイタリアに発っている。僕に伝えなかったのは、危険な任務だからだと聞いた。

はい、と電話に出ると相手はロマーリオだった。



「………え?」


ディーノが、死んだ。

なんで、ディーノが…


ディーノ、ディーノ、ディーノ、ディーノ…



ーじゃあ、行ってくる



夢の中で、見たんだ。
ディーノは最期に僕に会いに来てくれた。


ありがとう、ディーノ…

約束は、絶対、守るから…ー


僕は、貴方の光になれたのかな…ー


(僕の光は、永久に、失われた)


*fin*
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