駄文倉庫【D-1】

□黒くて黒くて、真っ黒で …瞬
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僕は闇の中に居た






そこは、黒くて、

黒くて黒くて真っ黒で、



そして酷く居心地が良かった






それは多分、単一だから



色を重ねるならば
調和しない部分が
どこかに生まれてしまう

だけど

『黒』と言う
一の色しかないなら

それはどこまでも完璧で
歪めようがないから






何物も混ざらなくて

何物にも染まらなくて



そしてずっと、変わらない世界






変わらなくていい






誰も……変えないで欲しい










そう、思ってたのに















ある日



完璧な僕の黒い世界は



鮮やかな色に汚された










不可侵の僕の黒い世界を
勝手に塗り替える『君』

それはそれは強烈なcolor



僕が黒く塗り直そうとしても
塗りつぶせないほど鮮やかで

ようやく塗り直したと思っても
またすぐに、鮮やかに汚される






極彩色で、

出鱈目で、

けばけばしくて、



――だけど美しい、






不調和すら調和してしまう
君の世界










いらない


要らない

鮮やか過ぎて、目に痛い



黒い世界に、戻してよ















そしてまたある日



僕の世界は真っ黒に戻った










……華やかで

派手やかだった君は



現れた時と同じように唐突に



他の誰かのもとへ
行ってしまったから










……今度は物足りなくなった



あれほど黒に固執していたのに

colorfulに慣れた目には
黒は酷くつまらなく思えた










……知らなければ良かった



知らなければ――

――偲ばずに済んだのに















そうして僕の世界は



今日もまた






黒くて黒くて、



あの頃よりも更に、



どこまでも真っ黒なんだ。




 

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