企画部屋
□転換
1ページ/2ページ
『ねぇねぇ、阿近さん』
『何だ?』
阿近さんは、あたしの片思いのひと。
外見はちょっと怖いけど、さりげない優しさが大好き。
あたしは技術開発局に所属しているものの、あんまり化学は得意じゃないから、阿近さん(とか他の人)にコーヒーをいれるのがお仕事。
『コーヒーいれてきたけど、飲みますか〜?』
『飲む。』
阿近さんは甘いものが嫌いだから、コーヒーはブラックって決まってる。
『はいどーぞ♪』
『んー…‥。』
実験中だから、手探りでカップを取って飲む、そんな仕種も大好き。
当然バレンタインも渡そうと決めてて、今はそのリサーチが目的。
一応全種類作ったから、あとは阿近さんの好きなのを聞いて渡すだけ♪
『ねぇ、阿近さーん。』
『何だよ。』
会話はしてくれるけど、目と手は実験。
でも今更だから、そんなことは気にしない。
『チョコ好き?』
『甘いから嫌い。』
『生チョコ好き?』
『感触自体嫌い。』
『トリュフ好き?』
『生チョコと大して変わらんだろ。』
『クッキー好き?』
『ぼそぼそしてるから嫌い。』
『ケーキ好き?』
『食うの面倒。』
‥…そう来たかー!!
『…じゃあ何が好きなんですか?』
『コーヒー。もう一回いれて来い。』
『‥…はぁい。』
そう言って私はコーヒーをいれに部屋を出た。
.