企画部屋

□転換
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『ねぇねぇ、阿近さん』




『何だ?』



阿近さんは、あたしの片思いのひと。



外見はちょっと怖いけど、さりげない優しさが大好き。



あたしは技術開発局に所属しているものの、あんまり化学は得意じゃないから、阿近さん(とか他の人)にコーヒーをいれるのがお仕事。



『コーヒーいれてきたけど、飲みますか〜?』



『飲む。』



阿近さんは甘いものが嫌いだから、コーヒーはブラックって決まってる。



『はいどーぞ♪』



『んー…‥。』



実験中だから、手探りでカップを取って飲む、そんな仕種も大好き。



当然バレンタインも渡そうと決めてて、今はそのリサーチが目的。

一応全種類作ったから、あとは阿近さんの好きなのを聞いて渡すだけ♪



『ねぇ、阿近さーん。』



『何だよ。』



会話はしてくれるけど、目と手は実験。

でも今更だから、そんなことは気にしない。



『チョコ好き?』



『甘いから嫌い。』



『生チョコ好き?』



『感触自体嫌い。』



『トリュフ好き?』



『生チョコと大して変わらんだろ。』



『クッキー好き?』



『ぼそぼそしてるから嫌い。』



『ケーキ好き?』



『食うの面倒。』



‥…そう来たかー!!



『…じゃあ何が好きなんですか?』



『コーヒー。もう一回いれて来い。』



『‥…はぁい。』



そう言って私はコーヒーをいれに部屋を出た。





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