10/07の日記

09:43
カデスの牢獄にて -行くべき、道-
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そうしてディアとアギロは地下牢へと向かった。

ディア「……………。」
地下牢へと続く階段を下って行く中で、ディアはある感覚に捕らわれていた。

―――この、気配は…

一歩、また一歩と、足を進める毎にその思いは強まっていく。

―――忘れは、しません。
これは、この気配は…


アギロ「やはり帝国が捕らえていたのは……だったようだな。」

アギロの声は霞んだが、ディアには最早その言葉を聞かなくとも答えが出ていた。

そうか、帝国が探していた特別な存在とは……

やはり、“天使”だったのか……

天使を包んでいるという繭の中から、微かに懐かしい仲間達の気配が漂っていた。

ディアは、緩んでしまいそうな気持ちを引き締め、唇を軽く噛み締めた。


これで、合点がいった。
件の大地震にて地上へと降り立っていった仲間達が天使界に戻らなかった訳。
黒き魔竜とともに、帝国が蘇った訳―――。


ディアが繭に近づき祈りを捧げると、ディアの天使の力を感じ取ったのか、繭を形づくる気配が揺れ、渦巻き、いつしかそれは翼を羽ばたかせるかのように空気中へと溶けていった。

魔帝国、暗黒皇帝ガナサダイは繭を使い天使達の力を吸い取り、闇竜バルボロスを意のままに操っていたらしい。

**「ここだけじゃない。ガナン帝国城には、まだ仲間達が捕らえられている筈なんだ……。」
ディア「…………。」
ディアは、息も絶え絶えに語る仲間に微笑ってみせる。
**「……ディア?」
ディア「…だいじょうぶ、です。」

―――グレイナル…さま。わたし、するべきことが…行くべき道が見えました。

―――グレイナルさまが、守ってくださったこの命、きっと大切に…いたします。

―――ディアは、魔帝国の方々をこのまま放っておくわけには…いきません。天使界のみなさんを、人間界のみなさんを…かならず、守ってみせます…!


ディアは、懐に入れたガナンの紋章を強く握り締めた。



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