Long

□★この恋=危険域
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ベッドに押し倒されながら、深く深く口づけを交わし…

どっちがどっちの舌か分からんぐらいに絡めて、混じり合った唾液が口の端から垂れていく。


「…んッ…は…ぁ…」


その行為だけで身体の中心が熱くなり、しばらく快感から離れていた身体は信じられない程震えた。

息が出来なくて…苦しくて…
塞がれた口の隙間から酸素を取り込もうとしても、またすぐ塞がれて…

苦しいと眉をひそめても、謙也さんは唇を離してはくれない

でもそれは、俺が欲しかったもの…

この苦しさも…
アンタが俺を好きやと言ってる証拠やから…

…嬉しくてたまらないんや


「ん、んん…ッ!」

「ひかる…」


こんなに長く、深く、キスをしたのは初めてかもしれん…

ボーっとする頭でそんな事を考え、薄く目を開けると、謙也さんの顔がすぐ近くにあって、視線が交じり合う。
それを合図に、謙也さんは感覚が曖昧になった唇を離した。
いやらしく透明な糸が引き、謙也さんが俺の唇を指でなぞる。
大切なモノに触れるように、大事に大事に…

愛しそうに俺を見る目が肌蹴たシャツの胸元に落とされ、指がある場所に触れた。


…そこは…

謙也さんが付け続けた印があった場所…


今はすっかり消えてしまって、影も形もないけれど…
確かにそこにあった印…

大切やった…
謙也さんの証…


「…付けてもええ?」


上から降って来た言葉

今更そんなん聞かなくても、俺の返事なんて分かっとるくせに…

小さく頷くと謙也さんは優しく笑いながら唇を落とし、痛いぐらいキツく吸い上げた。
真っ赤に染まった一点を嬉しそうに見つめ、謙也さんはまた唇を落とす。

ゆっくりとシャツを脱がせながら…

首筋、肩、腕、手のひら…

順番に唇で触れていくその行為は何か妙に気恥かしくて…
小さく、謙也さん、って呼んでみた。


「なに…してるん…?」


外国映画のワンシーンみたいに俺の手の甲にキスをした謙也さんにジッと見つめられ、その真剣な瞳にドキドキと胸が鳴る。


「あいつらが触った場所…感触、全部俺が消したるから…」

「…ッ…あ…」


そう言いながら胸の突起を舐められ、思わず声が上がる。
ざらざらとした舌の感触が快感を湧き立たせ、ビクリと大きく身体が震えた。
片方は舌で転がされ、片方は指で弄られ…
吐息と共に漏れる声が止められない。


「あ、あぁ…ッ…」

「ひかる…、気持ちええ…?」

「…ッん…!」


爪を立てられ身体が大きく反応してまう。
謙也さんの髪を弱々しく握り締め、与えられる快感に耐えていると謙也さんの唇はだんだんと胸から下がっていった。
腹の辺りにもキスをされ腰に手が触れたかと思うと、手早くズボンと下着を脱がされ、俺は一糸まとわぬ状態になっとって…

急に恥ずかしくなってギュッと目をつぶる。


…謙也さんとのセックスなんて何回もしてるハズやのに…
声を聞かれるんが、身体を見られるんが…

めっちゃ恥ずかしい…

…何でやろ…


「…ひかる…」


ふわりと頬を撫でられ、恐る恐る目を開ける。
そこには俺の大好きな笑顔と優しい目。


「好きやで…」

「……ん…」

「ちゃんと…俺ん事見て…」


俺と視線が合うと謙也さんは安心したように笑って、持ち上げた足の先にキスをする。


あぁ…そおか…

前は謙也さんの本当の気持ちなんて知らんかったから…
先輩達とヤる時みたいに平気で全部見せられたんやけど…


でも今は…
謙也さんが俺を好きやって…
欲しいって…
ちゃんと分かってるから…

そんな目で見られとるって思うと、妙に意識してまうのかもしれん…


「…ッ…!」


突然、ビクッと身体が震えた。
謙也さんの唇が太ももの内側に寄せられ、咎めるような目で俺を見つめる。


「…何考え事してるん…?」

「あッ…ちが…」

「今は俺ん事だけ考えてや…」


アンタの事、考えてたんや…


っていう俺の言葉は口から発する事が出来んかった。

謙也さんが頭を屈めて俺のを口に含み、ゆっくりと舌を這わせる。


「ひぁぁッ…!あ、やぁ…ッ…」


想像以上の快感が全身を駆け巡る。
もう意識がそこにしかいかんくて、目の前が真っ白になった。
今までこんなんされた事なんてなかったから、ホンマにどうしたらええのか分からんくて…
ただ、快感だけが一気に襲ってくる。


「あッ…け…やさんッ…!それ…アカンッ!」


引き剥がそうとしても全然力なんて入らへんし、言葉を投げかけても返事は返って来んかった。


「やッ…、んんッ…!」

「……ッ…」


謙也さんも同じ男やから、気持ちええ所なんて分かっとるみたいで…
さっきから感じすぎて頭おかしくなりそうや…

謙也さんの口から漏れる吐息にも感じてしまい、我慢の限界なんてすぐに訪れる。


「…ッ…ちょ…、も…離し…ッ!」

「…イって…ええよ」


そう言って謙也さんが先端を舌の先で押し、強く吸い上げた瞬間、堪え切れなくなった熱が解放されるんが分かった。


「…ッん、ああぁぁッ…!」


ドクン、と出されたそれを謙也さんは口で受け止め、何の躊躇いもなく飲み下した。
俺は肩で息をしながらボンヤリとその光景を眺めとって、「アホ」とか「ありえへん」とかそんな言葉をかけようとしたが、口からは荒い息が漏れるだけやった。


「…光…めっちゃかわええ…」

「ッは…、は…ぁ…」

「もう…誰にも渡さへん…」


謙也さんが自分の指を舐めると、息をつく間もなくその指が後ろに這わされる。
長い指が入口を押し開き、しばらく使ってなかったそこにゆっくりと挿入されて。
自分でもビックリするぐらいキツくて、指一本でさえ痛みを伴った。


「…い…ッ…」

「…痛いん?光?」


謙也さんが心配そうに聞くから、俺は必死になって首を横に振った。


ホンマは…めっちゃ痛い

前なら毎日のようにシてたから、こんなん全然平気やったのに…

俺が無理して我慢しとるんは謙也さんにバレバレやったと思う…

…でも…
謙也さんは指を抜こうとはせんかった。
だんだん奥に奥にと…
少しずつ進んでるんも分かる。


『触れたら…止まらんくなるから』


そんな謙也さんの言葉を思い出して、俺は詰まる息を吐いた。

目の端に涙が滲む。
その生理的な涙を堪え、謙也さんから与えられる痛みを感じたままそっと目を閉じた。


痛くても…平気や…

こんな痛み、あの頃の痛みに比べたら全然たいした事あらへん…


そう思った時、ゆるゆると中で動く指が何かを探るように動き回って、ある一点を掠めた。


「…ッ!う、あぁッ…!」


ビリビリと電気が走ったみたいになって、身体が快感に震える。
さっき吐精したばっかやのに、俺のはもう反応しとって…
恥ずかしいとか、頭で考える事が出来ないほど下からの快感が俺を攻め立てる。


「ッ…あぁッ!や…んんッ!」

「ここやな、光のええとこ」


何度も何度も同じ場所を執拗に責められ、いつの間にか二本に増えた指に気付かんぐらい、痛みは快感に変わっていた。

丁寧な程に中を擦られとったら、ジリジリと身体の奥から湧き上がるものに気付く。

それは…
もう指なんかじゃ足りんと、謙也さんのが欲しいと…
俺にそう言ってるみたいな…
心の声。

謙也さんの表情も、もう限界やって言うてるみたいで…口から荒い息が漏れとって…


俺は中を弄る謙也さんの腕をそっと掴んだ。


「…ッ…もう…」

「光…?」


「…謙也さんのが…欲しい」


その時の俺はどんな顔をしてたんやろ…

謙也さんの顔が真っ赤になって、そしてゆっくりと指が引き抜かれ…

圧迫が無くなったそこは、次の大きな快感を待つようにヒクヒクと脈打つ。

足を持ち上げられ、謙也さんのが押し当てられ…
俺はグッと息を止めた。


「痛かったら…ごめん…な」


小さく謙也さんの声が聞こえたと思った瞬間、俺の入口はギチギチと音を立て悲鳴を上げた。


「…う…あッ!…ッ…」

「…く…ッ…」


お互い顔を歪めて、苦しそうに息を吐く。
指で慣らしたとはいえ、やっぱり大きさは全然違う訳で…
その痛みに身体の力を抜く事も忘れていた。


「…ひかる…ッ」


謙也さんの俺を呼ぶ声に、ほんのわずかに残っていた意識を向ける。
目を開けると謙也さんの顔が近くにあって、渇ききった自分の唇に謙也さんの唇が触れた。

安心させるような優しいキス…
それは啄ばむように何度も唇に触れて。

長い時間それだけを繰り返され、俺は不思議なぐらい身体の力が抜けていき、それを見た謙也さんは腰を進めていった。

少しずつ、少しずつ…
謙也さんは俺の様子を見ながら自身を埋めていく。

謙也さんにしてみればじれったい程の感覚なんやろうけど…
無理に挿れる事はせんかった…


…酷い事してまうかもしれんなんて言っとったんはどこのどいつや…

余裕が無くても…
ちゃんと俺ん事考えてくれてるやん…
…なんて。

胸に広がる温かいモノを俺は幸せに感じた。


「…全部…入ったで…?」


そう囁かれ、俺はピタリとくっついた身体に気付く。
さっきまで感じてた痛みはどこかに吹っ飛んでしまったかのように、今はもう痛さなんて感じなかった。


「光が落ち着くまで…ちょおこのまま…」


そんな事言いながら、めっちゃつらそうな顔をした謙也さんを見て思わず笑ってしもて。

手を首に回して謙也さんの顔を引き寄せ、今度は俺が耳元で囁く番やった。


「アカン…もお我慢出来へんから…動いて…?」

「…ッ…!」


俺の中の謙也さんが大きくなったんを感じて、小さく笑みを漏らす。
止まっていた腰が律動を開始し、俺は突き上げられる快感に声を上げた。


「あッ、あぁ…やぁッ!」

「光…、ひかる…!」


ぐちゅぐちゅと結合部から漏れる音が、一層快感を誘って…
今まで感じた事ないぐらいの波が押し寄せる。

お互い理性なんか残っていない…
早く早く…と急かすように快感が限界まで登り詰めるのを感じるだけ…


「んッ、あ、…はぁッ…!」

「…ッ…は…」

「…ッあぁ…!!」


もう限界やと、そう訴えようとした時、あの一点を突かれ俺は込み上げてくる大きすぎる快感に、チカチカする目をつぶった。
もう謙也さんも限界なんやろ…
俺のええ所ばかり突いて、その締め付けに顔をしかめて…

謙也さんのが俺の中で大きく震えた瞬間、最奥を突かれ、俺は一際キツく中を締め付けとった。


「ひ…、ああぁぁッ!!」

「…く…ッ!」


俺が達したと同時に謙也さんも俺の中に精を放つ。
中に出されるその感覚に俺は深く息を吐いた。


はぁはぁと、荒い呼吸が室内に響く。

繋がったまま謙也さんは俺の身体を抱き締めて…キスをして…

耳元でゆっくりと囁いた。


「好きやで、ひかる…」


それは、俺を幸せにしてくれる
謙也さんの本音。

でも…

俺は…



「…俺は…好きやない」



ポツリと零したその言葉に、謙也さんは急にオロオロし出して…

俺はそっと謙也さんの頬に手を当てた



…そう、好きなんかじゃ全然足りない…


この気持ちを現わす言葉は
世界のどこを探してもないんやないかって思ってしまう程…大切な、大切な気持ちなんや…



だから


せめて一番近い言葉を

貴方に捧げよう…





「愛してる」





俺の言葉を聞いて…
謙也さんが太陽みたいに笑うから


つられて俺も笑顔になった




この先どんな事があっても

この気持ちが消える事はない





俺は愛を囁いたその唇を謙也さんに近づけた






ねぇ、謙也さん



これからも一緒に笑ってくれますか?


ずっと側におってくれますか?


俺を掴まえててくれますか?




それが出来るんやったら

俺はたった一つだけ…


永遠に変わらないモノを…






ずっとずっと…


貴方を愛すると



このキスに

誓います






END


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