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□★それが運命ならば
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両親が離婚したのは俺が中学2年の夏頃やった。
俺が小学生の頃から両親はお互い忙しくて時間もすれ違いで…
夫婦間の会話なんてまるでなく、俺は子供ながら思ってたんや。
いつか…こんな事になるんやないか…って。
俺はオトンもオカンも弟の翔太も…みんな大好きやった。
せやから、離婚する、なんて言われた時はホンマに…ホンマに悲しくて…
今までずっと一緒におったのに、いきなり離れ離れになるなんてその時の俺には信じられんかった。
でも、オトンの人生はオトンのもんやし、オカンの人生もまた同じや。
…俺や翔太にとって一番ええのは、このまま4人で暮らす事。
せやけど…、それはみんなの為にはならんから…
俺と翔太の為に両親が自分達の気持ちを押し殺して4人でいたとしても…
そんなもの…本物の家族やない…。
そう思うと俺は、やっとその事を受け入れる事が出来たんや…
オトンが黙って俯いても…
オカンにごめんなって泣きながら謝られても…
普段涙なんか見せない翔太が声を出して泣いても…
俺はただ、壊れていく家族を黙って見つめるしか出来んかった。
もう、こうして4人でいる事はないんやって…
隣で泣く翔太の肩に手をかけ、俺は出そうになる涙を堪えた。
もう二度と
こんな思いはしたくない
大切な人達を失いたくない
その日の夜、俺は暗い部屋で一人、涙を流した。
声を上げずに
静かに…
ベッドのシーツに染み込む涙を見ながら、俺は頭の中に浮かんだ人物の名前を呟く。
「……ひかる…」
会いたい…
会いたい…
俺の大切な人の一人である君に…
…会いたい…
次の日俺は、光の前で泣いてしまった。
白石にはちゃんと笑顔で接する事が出来たのに、光を見たらアカンかった。
俺の涙に最初は戸惑っていた光も、黙って俺の身体を抱き締めてくれて…
涙が止まった後も、理由は聞かずにただ俺の傍で手を握っていてくれた…
俺はこの時思ったんや
光だけは絶対に失わない…
光だけは絶対に失えない…
俺を支えるこの手を手放す事は出来ない
例えこの先
どんな事があっても…