mini

□2+0
1ページ/1ページ





「さよならね」

彼女が言った。

「ああ…そうだね」

私も頷いた。

「貴方のこと、愛していたわ」

彼女が言った。

「私も愛していたよ」

私が言った。

「いつまでも、あの時のままでいられたらよかったのに」

彼女が言った。

「仕方ないさ、人は進むものだから」

私は言った。

「貴方が言うと、何だかおかしいわ」

彼女は笑った。

「そうかな」

私も笑った。

「貴方を一人、置いていかなくてはいけないのは悲しいわ」

彼女は言った。

「大丈夫だよ」

私が言った。

「けれど…このまま一緒にいても、貴方を余計苦しめるだけなのね」

彼女は泣いた。

「…」

私は何も言わなかった。

「さよなら…ね」

彼女が言った。
まだ瞳は湿っていた。
無理矢理つくった笑顔は今にも崩れ落ちそうだ。

「ああ…さよならだ」

私はどんな顔をしているのだろう。

「貴方のこと、愛していたわ」

彼女が笑った。

「私も愛しているよ」

私は笑えているだろうか。



彼女はもう一度私に別れを告げると、アダムと手を取り合って去っていった。



「さようなら、イヴ」

私の愛する、美しき人。





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ