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□屋上サボり優等生
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『シオンてさー、何で授業サボってばっかなのにそんな成績いいの?』
『天才だから』
『いやウザいから。そーゆーのいらないから』
『や、本当だし』
『ううわムカつく!俺知ってんだからね!シオンがいつもの駐車場の隣にある廃ビルの屋上の鍵壊してそこで学校サボってることくらい!』
『…』
『ビックリした?』
『いや、退いた』
『だって本当のことじゃん。器物破損で訴えてあげようか』
『やめろ。俺はあのビルの鍵なんか壊してねーよ』
『嘘だぁ』
『本当。しかもあのビル廃ビルじゃないし』
『え、人住んでんの?』
『いや住んでは無いけど、何かどっかの会社の所有物らしい』
『どこ情報?』
『清掃業者のバイト』
『どうやって聞き出したの?』
『普通に仲良くなったから』
『へぇ』
『俺が屋上に入り浸れるのは、そのバイトとたまに仕事変わってやってるから。マスターキーのスペアもらったんだよ』
『随分夢の無い話だね』
『いや普通だろ』
『俺はもっとシオンを陥れられる話を期待してたよ』
『ナツメ、お前ってつくづく性格悪いなって思うわ』
『ありがとう』
『誉めてないし』
『でもサボってるのは事実だよね。これだけでも揺すりの材料になるかな』
『おい』
『しかもサボりながらタバコ吸ってるよね、中学生のくせに』
『それはナツメもだろ』
『俺はいいの』
『いや意味がわからないけどね』
『シオン馬鹿だからね』
『ナツメにだけは言われたくない』
『今の言葉は侮辱と受け取った!シオンのサボりを教師にチクってやる』
『別にいいけど、今、誰がお前のテスト勉強を助けてやってるんだっけナツメ君?』
『あ』
『義務教育とは言えもう三年。さすがに全教科0点だと、中卒にしてニートになれるな。俺は構わないけど』
『すいませんごめんなさいちょっといやかなりふざけただけです』
『よし』
『シオンの頭がいいからムカつくんだもん。俺よりモテるし』
『それは関係ない』
『何か、俺って全てにおいてシオンに勝ててないじゃん?悔しいんだよね』
『テトリスはナツメの方が強いだろ』
『テトリスなんかで勝てても嬉しくない』
『あとあれだ、駅前のゲーセンのレーシングゲームと牛乳の早飲みもナツメの方が強い』
『あ、そっか。じゃあいいや』
『いいの?』
『うん、何か別にそんだけ勝ててたらいいかな』
『ああそう』
『それより早くこの問題教えてよ』
『何だよ、急に学習意欲があがったな』
『次のテストはシオンより良い点取るって今決めたから』
『何で』
『そしたら、テトリスもレーシングゲームも牛乳の早飲みも学力も俺の勝ちでしょ』
『お前…』