mini

□短編
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右斜め四十五度。
その角度から見る君が一番綺麗に見えるって知ってからは、もう毎日飽きる程そうやって見つめてるんだけど、長い睫毛を濡らして泣いてる時は左斜め上三十八度から見た方が綺麗だって気付いたんだ。笑顔よりも涙の方が似合う女の子も泣き顔が綺麗な女の子も僕は君しか知らない。
(僕が君の涙を拭わない理由はそれです)



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別にもうそんな年ではないけれど、何となく朝顔を育ててみることにした。って彼に言ったら「朝顔は子供が育てるから綺麗なんだよ」と笑われた。私は何となくああそうかもな、と納得してしまって、せっかく譲ってもらった種は植えられないまましまってある。



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一人になりたい時もあるでしょって怒鳴り付けたのに、俺にはそんな時ないよってキョトンとした顔で見つめてくる君に怒りを通り越して呆れを感じたのはつい三日前です。彼氏というよりは犬に近い君と一緒に居るのは大変複雑な感情ではありましたがもう慣れました。色々と言いたいことはあるけど一番伝えたいのはこれです。私はアンタの飼い主じゃない。
(だから別れよう)



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証言A「窮鼠猫を噛むって言うじゃない?彼女、追い詰められてたのよ。だから仕方無かったと思うの。」
証言B「いくら女と言えあれは残酷だったよ。今でも思い出すだけで寒気が走るもん。まあアレだよ、ほら、都会に出てすぐの若い女の子だったし、ありがちと言えばありがちだけどね。」
証言C「彼女?そうだね、大人しい子だったよ。え、人殺し?まさか、あんな良い子がそんなこと。…もしかして、あの事件の犯人って、あの子なの?」

十九歳の女子大生、交際中の社会人Gさんを48回刺し殺害。通報時女子大生はGさんの内臓を引き摺りだしていたところだったという。目撃者証言によると、女子大生はGさんの内臓を引き摺りだし空にして中に入るつもりだったとのこと。

証言D「彼女、よく言ってました。Gは私を理解してくれるって、Gと居るとまるで2人で1つになれるような気がするんだって」





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