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□今哭いた鳥がもう嘲笑う
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遺書

山田君にいじめられたので死にます。
山田君は本当にひどい奴でした。
僕は何もしてないのに僕を嘲笑って殴って蹴って死ねと言いましたお前みたいな奴は人間じゃない塵だ死ね消えろ死ね死ね死死死死死死
だから死にます。
おとうさんおかあさんごめんなさい。
さようなら。




書き終わった遺書を机の上に置く。
僕は焼身自殺が昔からやりたかったから、ついに実行出来ると思うと少しうれしい。死ぬのは少し悲しい。
さあ、灯油を被ろう。火達磨になって愉快に踊ろう。
電話が鳴った。こんな時に、何の用だろう。僕は今から夢の焼身自殺をするって言うのに。
『おい、聞いたかよ!山田の奴、信号無視したトラックに轢き逃げされてついさっき死んだんだってよ!』
口の端が自然と吊り上がった。
やまだくんがしんだ。
僕は遺書を引き裂いて、灯油の入ったポリタンクを蹴り倒した。
やった、やまだくんがしんだしんだ死んだ死ねお前が死ね死んだやったもう殴られないいいいい痛い痛いよやめてやめてやめああああぁああぁああ!



崩壊しそうな笑顔を浮かべた一人の少年が、暗い部屋の中で踊り狂っている。

少年は叫んでいる。

やまだくんがしんだ!僕はもう死ななくて良いんだやった死ななくていいいぁあああああありがとうカミサマ僕は僕は僕は死なない死なない死なない!

少年は叫び続けている。
狂ったように踊り続けている。





(今泣いた鳥がもう笑う)
泣いたと思うとすぐ笑う。
子供などの喜怒哀楽の変りやすい事にいう。






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