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「ただいま」

音信不通だった君からの突然のその言葉に、唖然とする。コンビニにタバコを買いに行こうと扉を開けたら君はそこに立っていた。
これは何だろう、新手の嫌がらせか?

「何してんの」

よゆやく絞り出したはずのわたしの声はしかし、数年前と何も変わらない響きをしていた。

「ちょっとあちこち見てきたんだけど、疲れちゃって」

やっぱり僕にはここが一番良いみたいだ、そう言って少し笑った君は、確かに、疲れて見えた。

「おかえり」

今までどこにいたんだよ、とか、今更何しに来たんだよとか。淋しかったとか。言いたいことは山程あったはずなのに、君のそんな顔を見たら何も言えなくなる。

君は、もう一度ただいまと言って、そのままわたしを抱き締める。少し痩せたね、と言おうと思った矢先、君は盛大に咳き込んだ。

「ちょ、タバコ臭い」

感動的なシーンが台無しだ、なんて、二人で同時に笑い出す。少し涙が出たけど、これは笑いすぎたってことにしよう。

「タバコやめなよ」
「君がどこにも行かないなら」
「うーん、考えとく」

君のせいで本数が増えた、なんて可愛くないことは、内緒にしようと決めた。

とにかく、君は帰ってきたのだ。




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