BLEACH部屋
□ただ唯一の ◇第3話◇
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やはり、私なんかがお慕いしてはいけないお方だったのですね…
……白哉様…―
この日も白哉は緋真のもとへと足を運んでいた。
春が訪れたとはいえ、時折吹く風はまだ肌寒い。
せっかく満開に開いた桜も風に吹かれ、ひらひらと美しく舞っている。
「桜も散り始めてしまったな…」
「…そうですね…」
俯きながら小さな声で返事をする。
いつもならば白哉の声に熱心に耳を傾け、問いかけられればすぐに返事をするのに…。
そんないつもと違う緋真の様子に、白哉は心に引っ掛かりを覚える。
「どうかしたか、緋真」
「…、え…?」
やはりいつもと少し様子が違う。
「今日はどこか、様子が違うようだが…」
「っ、」
弾かれたようにそれまで俯いていた顔を上げ、一瞬、大きな瞳がさらに大きく見開かれた。
そしてまた俯いてしまう。
「緋真…?」
少しだけ顔を覗き込むようにし、見つめていると、緋真は何かを話そうとしているかのように口を何度か開閉させた。
一体何を言い淀んでいるというのだろう。
緋真は一体何を伝えようとしているのか。
このような様子の緋真を見るのは初めてだ。
「……あの…」