物語

□殺したくはない
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「ぎゃああああああ!!!!」

響く悲鳴に目を覚ました。

「ふっ、、、、!?」

目を覚まして転がり込んできたのは敵の狼。
血みどろになりながら尚襲ってくる利玄の仲間達を迎え撃つ。

「がぁぁぁっ!!!」
「ぎゃっ・・・」

尻尾と首を仲間の二匹に捕らえられ、抵抗すらできない。
利玄は状況を理解できずに起き上がろうとする。
「な・・なにがおこって・・」
ズキン!!!
「あうっ!!」
頭にものすごい痛みが走る。
「起きたか利玄!!こいつが最後だ!!腹を食い破れ!!」

仲間が一瞬油断した瞬間、敵は仲間を振りほどき唸る。

「ううううぅぅ!!!」

「こい!!おまえだけでなんとかなるとおもうか!?」

「まて!!」
利玄は叫ぶ。
「なにがあったんだ!俺にはわからない!!」

「はぁ!?お前頭打っておかしくなったのか!?こいつらが急に攻めてきたんだよ!・・・・ぐあっ!!!」

首に食いつかれ、ぶちっと言ういやな音が響いた。

「ひゅ・・・ひゅうぅ・・」

「てめぇ!はなせ!!」

利玄の前で暴れまわる3匹。
仲間の一匹は首に深々と牙を食い込まされ、呼吸ができない。
見る見るうちに舌の色が紫になっていく。
やめろ、といおうとした瞬間もう一匹の仲間に向かって敵は咥えた一匹を投げつけた。

「がっ!!!」

二匹は吹き飛び地面を転がる。
一匹は起き上がったが、咥えられていた一匹は首から大量の血と吐血をし、絶命する。

「あっ・・・ヤビ!!ヤビ!!・・・てめぇ・・・。」

「やめろ!!!これ以上は・・・ファン!!!」

利玄の制止も聞かずにファンは宙を舞っていた。
それを待っていたかのように敵狼、ロンは迎え撃った。

宙を舞ってむき出しになった急所。腹に食いつくと体を回転させた。
その回転によって食い破られないようにとファンはロンに食いつく。
ばたんばたんと二回、三回と二匹は転がり続けた。抑えるべく頭の痛みと闘いながら利玄は起き上がるとロンのわき腹に食いついた!!

「ぎゃっ・・・がががぁ!!!!」
回転していたのが裏目に出てロンのわき腹は利玄の牙で食い破られた。
痛みでのた打ち回るロン。
出血の量がひどく暴れまわるたびに鮮血が飛び散る。

そのうち、ロンはうめき声さえ上げずに絶命した。
「はぁ・・はぁ・・・」

「ファン!!!」

ファンは息はしているもの、やはり腹が食いちぎられどくんどくんと脈打つたび血がだらだらとながれる。

「俺、は・・・」

「ファンしっかりしろ!大丈夫だ!!」

ファンの目はうつろでどこを見ているのかわからない。ただこれだけははっきり言った。

「お、俺を・・殺してくれ」

「はぁ!?何言ってんだ生きるんだよ!!」

「わかるだろ・・・利玄・・・苦しいんだ」

苦しいんだ、この言葉を聞いたしゅんかん利玄の目には涙が浮かんだ。
「俺に・・・お前を殺せと・・?」

「そうだ・・・い、生きてるうちに・・・仲間の牙で死にたい」
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