詩篇

□第三集
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【雨の季節】


通りすがった人の影さえ 淡い灰色の靄が掛かる
雨の季節 憂欝な空
直ぐに思い出せるのは
雨に混じったすいかずら 少し濡れた夏服
君が差してる青い傘

放課後の音楽室から 君の帰る姿を見ていた
真直ぐに伸びた背筋

綺麗

思った途端に 硝子のような雨粒が弾ける

記憶の中さえ モノクロームの世界
雨の季節 陰欝な空
だけど君だけは鮮やかで
恋をしていたんだと気が付いたのはずっと大人になってからだった
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