TENIS

□僕達の始まり・・・
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ー放課後ー
「ねぇっ桜乃!今日、男テニの練習、見に行かない?」
「朋ちゃん…今日は女テニの練習あるから…それに…」
「それに?」
「…ううん、何でもない…ごめんね」
「いいのよ。練習頑張ってね」
「うん…(…男テニに行けば不二先輩に会う事になる…顔合わしにくいもんね…)」


「竜崎さん」
桜乃が練習をしてると女テニの部長が声を掛けてくる。
「悪いんだけどこれ竜崎先生に届けてくれない?今、手が離せなくて…」
「えっ……はい…」
桜乃は一度は躊躇ったが引き受け届けに行く。
(…届けてすぐ戻れば不二先輩と顔合わせないでいいよね…どうか不二先輩と会いませんように…どう対応したらいいか分からないもん…)



男子テニス部ー
いつものように練習に励む中、不二はぼんやりと空を眺めるー
「………」
「どうした不二、具合悪いのか?それなら無理しないで帰った方がいい」
「大丈夫…何でもないから。ありがとう大石…あっ…桜乃ちゃん」
「本当だ…??…何か挙動不審だなぁ」
コソコソとする桜乃の姿を見つける不二。

桜乃は周りをキョロキョロと見渡しながら体を小さくしスミレの側に行く。
「…お、おばあちゃん…」
小声でスミレに声を掛ける。
「んっ?どうした桜乃」
「…これ部長から言付け…」
「ああっありがとう…どうしたんだい、コソコソして…」
「ううん…何でもないよ…じゃ…」
桜乃が立ち去ろうとした時ー


「あっ〜桜乃ちゃんだ〜やっほ〜♪」
桜乃の姿を見つけた菊丸が元気よく桜乃に向かって手を振る。
桜乃は恥ずかしそうにしながらもそれに応え小さく手を振るー


・・・と不二の姿に気付く…顔が一気に火照るー
「〜〜/////じゃあ私、行くね!」
勢いよく振り返るがー
「危ない!桜乃!前ー」
スミレの言葉は遅くー

ガッシャーン!


思いっきりフェンスに激突する。
桜乃はその場に座り込み顔を押さえる。
「ふぇ〜いたぁ〜い」
「大丈夫か?…今日のアンタ、おかしいよ?何かあったのか?」
「…えっ…///うっ…(おばあちゃんに言えないよ〜)」


「大丈夫?桜乃ちゃん。立てる?」
スッと差し出された手…
「ーー!!//////」
「はい、手貸すよ」
「ふ、ふ、不二…先…輩……」

優しく手を差しのべる不二…
再び桜乃の頭の中に思い出されるあの光景…
自然と視線は不二の唇に集中してしまう。

「〜〜〜だ、大丈夫です!それじゃ!////」
桜乃は勢いよく立ち上がると駆け出して行く。
「桜乃!そっちはコートの方じゃないだろ」
スミレの言葉に一旦立ち止まると方向をクルリと変える。
「えへへ…///」
恥ずかしそうに笑うとまたしても駆け出して行くー

「あれ?桜乃?どうしたの?」
朋香がやって来て不思議そうに去っていく桜乃を見つめる。
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