TENIS

□僕達の始まり・・・
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「………」
不二は差し出した手を引っ込むのも忘れ呆然とする。


「まったく…どうしたんだろね…」
「不二ぃ〜お前、桜乃ちゃんに何かしたんじゃないのぉ?」
「えっ?」
「だってさぁ不二の顔を見て桜乃ちゃん動揺してたにゃ」
「不二…お前の事は信用してるが…まさか…桜乃に…」
スミレが険しい顔で不二を見つめる。
「やだな…先生の大切な孫娘に何かする訳ないじゃないですか」
穏やかに微笑み返す不二にスミレは小さく溜息をつく。
「それもそうだな…」

ーされたのは僕の方かもしれないけどー
自分にしか聞こえない声で呟く。

「んっ?何か言ったか?」
「いぇ…それより練習再開しましょう」
「そうだな…」
(ーでもあんなに避けられると…ショックだな…)
差し出した手を無言で見つめる不二。

ー女テニの練習も終わり桜乃は片付けを済まし着替えると部室を後にする。
「桜乃」
「あれ?朋ちゃん…待っててくれてたの?」
「どうしたの?様子おかしいよ。何かあったの?」
「……(どうしよう…朋ちゃんにはちゃんと話すべきかな…)」
「…無理には言わないけど…竜崎先生も心配してたわよ?」
「…うん…実はねーーーー……」
桜乃は小声で今日の事を伝えるー





「ええっ〜〜不二先輩とキ……むがっ!」
大声で叫ぶ朋香の口を慌てて塞ぐ。
「と、朋ちゃん〜〜大きな声、出さないで////」
「ご、ごめん…つい…で、マジなの?」
ヒソヒソと小声で尋ねる。
「う、うん…事故だったんだけど…恥ずかしくて不二先輩の顔、見れなくて…」
「いいなぁ〜不二先輩とキス…」
「朋ちゃん〜他人事だと思って!」
「…桜乃は嫌だったの?」
「…嫌ではなかったよ…でも不二先輩は…それに不二先輩は初めてじゃないよね…」

「初めてだったよ」
「ー!!不二先輩…いつから…///」
「今、通りかかったんだよ。僕、キスは初めてだったよ」
「う、嘘…先輩、モテるし…付き合ってる人も居たり…」
「残念ながらずっとテニステニスで色恋沙汰には無縁だったんだよね」
「…そうなんですか…」
桜乃はホッとした表情を見せる。
(ーあれ?何で私、安心してるのかな…)


「桜乃ちゃんは越前と付き合ってるの?」
「/////ええっ〜???つ、付き合ってないです!」
慌てて否定をする桜乃。
「そう…なら僕にもチャンスがあるんだね」
「チャンス?」
「僕は桜乃ちゃんの事が好きだからね」
「……………」
その一言に桜乃は驚きのあまり言葉も出ない・・・


「ちょっと!桜乃!どうするの?…桜乃?」
朋香が声を掛けるが桜乃はポカンとしたままだった。

「…そういう事だから…じゃあね」
不二は微笑むとその場を立ち去る。
「桜乃!」
「へっ?あっ…」
「…どうするの?不二先輩と付き合うの?」
「で、でも…信じられないよ…私を好きだなんて…」
「桜乃は不二先輩の事をどう思ってるの?」
「…嫌いではないよ…いつも優しくしてくれるし…でもそれは…」
「それは?」
「私がおばあちゃんの孫だから…でなきゃこんな私を気にかけてくれる筈ないもん…」
「桜乃…そうかな…ただ竜崎先生の孫だからて優しくしてると思わないけど…」
「…………」
「桜乃・・・・」
朋香はただ俯き無言の桜乃の肩にそっと手を置き見つめる・・・・
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