9周年記念小説

□指折り待つ日

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キーンコン・・・カンコーン・・・

授業終了のチャイムが鳴ると同時にいそいそと帰り支度を始めるあかねに蘭は声を掛けた。

「どうしたの?あかね。そんなに急いで」
「えへへ♪実はね今日、頼久さん、お仕事お休みでね。夕ご飯作りに行く約束してるんだ♪」
嬉しそうに照れながらあかねは蘭に応えた。

「じゃあ。またね蘭」
「うん・・またね・・」
小走りで去って行くあかねの後姿を見つめてると・・・

「ホント幸せそうだな。あかねの奴」
「お兄ちゃん・・」
「でも、あの人ちゃんとあかねに伝えてないんでしょ?それでいいのかしらあかねは・・・」
「まぁ本人が傍に居られるだけで幸せって言ってるんだし、いいんじゃねーの?」
「・・・お兄ちゃんは振られたのによく2人を応援出きるわね」
「痛い所突くなよ・・・いいんだよ!俺はあかねが幸せなら!」
「かっこつけちゃって・・・」
「うるせーよ;」



ーピンポーン♪

あかねは頼久の部屋のチャイムを鳴らすー・・が・・・
暫くしても出てくる気配はない・・・

「約束してたのになぁ・・何かあったのかなー・・」
そんな心配をしてるとドアが開かれる・・・

「頼久さんー・・・」
と・・・声を掛けるがその姿に驚く・・・

「ーーゴホ・・あかね・・・」
パジャマを着て真っ赤な顔をし咳き込みながら現れた頼久。

「頼久さん!どうしたんですか?もしかして風邪?」
「ええ。昨夜ぐらいから具合が悪くなって・・すいません。折角来て頂いたのに・・・」
「大丈夫ですか?私、看病します!」
あかねの申し出に頼久は慌てて言う。

「駄目です。もしアナタに染りでもしたらーお手を煩わせる訳にはいきません」
「いいの!私がしたいんだから!ほら!早く中に入って!横になっててください。お粥でも作りますから」
「ーでは、お言葉に甘えて・・お願いします・・ゴホ・・・」


「あ〜あっ…折角、手料理振舞えると思ってんだけどなぁ・・・お粥だけになるとは・・」
溜息をつきながら頼久の眠る部屋へと向かう・・・


「頼久さん・・出来ました・・・寝てる?」
赤い顔し荒い息をしながら横たわる頼久の姿。

「すごく苦しそう・・そうだ・・・氷枕作って冷やしてあげよう」

氷枕の準備をし再び頼久の元へ戻る・・・

「頼久さん、氷枕を…!!」
ふと、あかねの脳裏に過去の記憶が蘇る・・・

ーこの状況は・・・似ている・・・あの時に・・・
そう…寝ぼけて彼に私はーー・・・

一気に顔が火照る。
心臓が高鳴る・・・

ど、どうしよう・・・

でも、あの時はまだ頼久さんに対して特別な感情はなかったから・・・

今は・・・少しでも彼との距離を近付けたいと思う・・・

「う・・ん・・・」

と、1人うろたえてると頼久の口から思いがけない言葉を聞く事になる・・

「て・・天・・真・・・」
へ?天真くん?
「天真・・お前であろうと・・神子殿・・・を渡したくは・・ない・・・」
ーーー!!!

なっなっ・・・頼久さんーー・・・

突然の言葉にあかねは手から氷枕を離してしまう・・・

ドサッ!
落ちた氷枕は頼久の顔に命中してしまう。

「ーっ!!?」
突然の衝撃に頼久は驚いて起き上がる。

「ご、ごめんなさい;大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫で・・あかね?どうなされたのですか?顔が赤いようですがー・・もしかして私の熱が・・・」
「いいえ//違います・・・あの頼久さん・・・」
「はい?」
「今度は・・・起きてる時にちゃんと・・してくださいね///」
「は?」


思わず言ってしまった言葉にあかねは更に赤くなってしまう。

「そ、それじゃ。私が居ると頼久さん、ゆっくり休めないから私、帰ります。早く元気になってくださいね!」
それだけ言うとあかねは慌てて飛び出して行く。

「ー??」
頼久は訳が解らずにポカンとする。

ーいつかきっと・・アナタから優しく甘い口付けを・・・

アナタが私に伝えたい言葉と一緒に・・・くださいね・・・

そんな遠くもない日を心躍らせ指折り数えて待っています…

ーEND-

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