倉庫 GC
□ごみ箱
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ホラー系3度目はくどいから没にした案
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世界には似た顔の人間が3人はいるという。
知人に「あなたによく似た人を見掛けた」と言われた経験も、人によってはあることだろう。
それらのよく似た人間は、俗にドッペルゲンガーと呼称される。
会えば死ぬといった都市伝説も、今は懐かしい話だ。
けれどダリルにとって、それは決して空想の話ではなくなっていた。
「少尉、頼んだものは買ってきてくれたか?」
彼が異変に気付いたのは、ローワンのそんな言葉からだった。
「はぁ?何の話?」
「だから、さっき頼んだ牛丼は?」
「牛丼?」
互いが互いの言葉に首を傾げ、眉間に皺を寄せる。
「そんなもの頼まれてないよ」
「じゃあ財布は?」
「僕が知るわけないじゃない」
「ダリル、今は悪戯に構っていられるほど暇じゃないんだ」
「こっちの台詞だ。悪戯ならよそでやってよね」
ローワンが言うには、数十分ほど前にダリルに昼食の買い出しを頼んだらしい。珍しく素直に聞き入れたダリルは、ローワンの財布を預かって出発。今に至るというわけだ。
しかしダリルにはそんな記憶が微塵もない。財布も買い出しも今初めて聞いた話だ。
「いい加減にしろよ!僕が騙したって言うわけ!?」
「もう少しマシな言い訳を考えられないのか?」
ついに怒りを露にし、ダリルは人目も憚らず怒鳴り声をあげ始めた。
ダリルが先に胸倉を掴み、その手をローワンが捻りあげる。
「離せよ!」
「ダリル!」
「知らないって言ってるだろ!!」
中略
「何をしているんですか、二人共」
「嘘界少佐……」
中略
「喧嘩も結構ですが、牛丼が冷めますよ」
中略
「え?」
中略
「ダリル……?」
「僕じゃない」
慌ててダリルは頭を振る。
ローワンは怪訝な顔をして、恐る恐る嘘界に尋ねた。
「少佐、その牛丼、誰が買ってきたんです?」
これには嘘界の方が怪訝な顔をし、すっとダリルを指差して言った。
「おかしなことを言いますね。あなたが少尉に頼んだんじゃありませんか」
それが、最初の出来事。