倉庫 GC-2
□細やかな秘密
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僕は今、とても高い塀の中にいる。
格子窓から射し込む光に照らされた、酷く簡素な狭い部屋だ。
この部屋に入れられて、もうすぐ1年になるだろうか。
時間の経過に疎いこの空間では、そんなこともわからなくなっていた。
ここは本国のどこかの軍事刑務所。
どこかなんて、話をまともに聞いていなかった僕は知らない。
唯一覚えていることと言えば、本当はもっと広い部屋に入れられる予定だったものの他の受刑者に殺されかねないためにここへ移されたという話くらいだ。
いつか出られるのか、いつか殺されるのか。そんなことも覚えていない。
なぜ覚えていないのかと訊かれたら、答えは至極単純だ。
『今日もいい天気だな、ダリル』
僕はお化けという存在を目の当たりにして呆然としていたのだ。