倉庫 GC-2

□忘却が救いと言うのなら
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研究者という生き物は、ふとした瞬間に自らの研究に恐怖するときがある。
失敗、挫折、成功の果ての結末。その切っ掛けは人によって様々だが、彼の場合は酷く有り触れた――ひとつの罪悪感によるものだった。


アンドレイ・ローワンの研究はエンドレイヴという名の戦闘機の感覚共有に関するものである。
離れた場所から安全に、人殺しの機械を使えるようにする。そんな兵器の性能を向上させるために、彼は研究施設に配属された。
自分が作った兵器がこの先どれだけの人を殺すことになるか。考えたことがないと言えば嘘になる。
だが彼の知的好奇心と探究心の前では、道徳や倫理など綿で出来た壁のようなものだった。
故に彼は“その日”が来るまで、人間の子供を実験台にすることに何の疑問も抱かなかったのである。

 
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