倉庫 GC-2

□140字SS
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○嘘吐きの電話


ダリル・ヤンは嘘をついている。

「そんなに心配しなくても、僕は元気でやってるよ」

遠く離れたローワンに、電話越しに何年も。

『無理はするなよ?』

「してないって」

『そうか?』

「アンタは自分の心配だけしてなよ」

彼はずっと、隠している。

「僕なんか待ってないでさ」

自分がもう生きていないことを。



――――――――――



アンドレイ・ローワンは知っている。

「それでも待っているよ」

初めて電話をしたその日から。

『……アンタも強情だね』

電話越しの声を聞いた瞬間から。

「君に似てきたかな」

『言ってろよ』

彼はずっと、気付かない振りをしている。

「じゃあ、また」

握る受話器のその先が、何処にも繋がっていないことに。
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