倉庫 GC-2

□140字SS
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○ストーブの温もり


降り始めた雨のように、生温かい雫が頬に落ちる。
その雨を降らすのは灰色の雲ではなく、私の上に覆い被さるうら若い少年である。
人工的な朱色の光に照らされた彼の頬を、一滴、また一滴と雫が伝う。

泣かないでくれ。

少年の髪に触れながらそう呟いたはずの私の口は、僅かに掠れた息を漏らすだけだった。
 
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