倉庫 GC-2
□140字SS
7ページ/14ページ
○ストーブの温もり
降り始めた雨のように、生温かい雫が頬に落ちる。
その雨を降らすのは灰色の雲ではなく、私の上に覆い被さるうら若い少年である。
人工的な朱色の光に照らされた彼の頬を、一滴、また一滴と雫が伝う。
泣かないでくれ。
少年の髪に触れながらそう呟いたはずの私の口は、僅かに掠れた息を漏らすだけだった。
→
次へ
←
前へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ