倉庫 GC-2

□ごちそうさま
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血液は汚いものだと、いつか教わったことがある。
例え目の前で誰かが死にかけていても、その血に触れないよう我が身を守れと。
どんな病気を患っているとも知れない人間の血に、不用意に触れるべきではないと。
故にローワンは疑問に思っていた。
吸血鬼は何故、そんな危険な物を好き好んで摂取するのか。
ダリルはそれに、不思議そうな顔をして答えた。

「吸わなきゃ生きていけないからに決まってる。アンタ達だって、誰が吐いたとも知れない空気を吸って生きてるだろ?どんなウィルスが漂ってるかなんて、いちいち確認する馬鹿がいるかよ」

呼吸と吸血を同列に語るのは如何なものか。ローワンは首を傾げた。
そんなことなどお構いなしに、ダリルは溢れそうになる唾液を嚥下しつつローワンに躙り寄った。

「いいから早く脱いでよ。僕お腹空いてるんだけど」

空腹の吸血鬼は唇の向こうに犬歯を覗かせ、煽るように己の唇を舐める。

「……死なない程度にしてくれよ」

ローワンの注意も虚しく、襟は力任せに引き裂かれた。
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