倉庫 汎用

□化け物の檻
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ジオールは化け物を飼っている。
世界に向けて放たれたメッセージの中でそう揶揄された女、流木野サキは物悲しい表情を浮かべて独房の中に座り込んでいた。
剣で体を貫かれ、尚も平然と生きているその姿は、端から見れば確かに化け物に見えたことだろう。
ドルシア軍の兵士達はそんな彼女の独房へ、誰一人として近付こうとはしなかった。
監視も食事の配給すらも、皆一様に拒み続けた。
不死身の特性もさることながら、彼女にはカーツベルフを意のままに操った嫌疑が掛けられている。それを恐れてのことだった。
しかし、だからといって彼女を放置するわけにもいかない。
彼女が驚異的な治癒能力を持ち合わせているとしても、飢えや渇きにまで耐えられる保証はどこにもない。
新生ジオールへの切り札であるこの女を、みすみす死なせるわけにはいかなかった。
そんな中でアードライが名乗りを挙げたのは、まさに必然の出来事であった。
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