倉庫 汎用

□願うのは
1ページ/1ページ

暗黒の宙(そら)に消えていく緑の光を見届けて、アードライは一人独房へと向かった。
流木野サキが無事に艦を脱出するまでの僅かな時間、仲間達は最善を尽くしてくれた。
それでも彼が誤魔化せたのはここまでで、あのヴァルヴレイヴが発艦したとあれば、もはや有耶無耶にすることは困難だった。
最後に彼女と面会したのは他でもない彼であり、真っ先に疑われるのは必然。
前(さき)にハーノインのことがあっただけに、処分されることは十分に考えられた。
良くて幽閉、最悪の場合はその場で殺されても文句は言えない。
それでも彼に後悔はなかった。
例え自身の手で悲願を成し遂げられなくとも、エルエルフさえ生き残っていれば、必ずドルシアは革命を迎える。そう確信していた。

「エルエルフ……」

今まさに死の手前に立つ友に向かい、彼は小さくその名を呼んだ。

「死ぬなよ」

願うのは再会ではなく、友が生きる未来。



願うのは
――――――――――
彼方の光に願いを託して

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ