倉庫 GC-2
□私の友達
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「それじゃあ、僕が先に隠れるから、目を閉じて30秒数えたら探しに来てね」
「わかった」
ローワンは頷き、その場で目を閉じて数を数え出す。
いーち、にー、さーん
間延びした声を聞きながら、ダリルは廊下へと走り出す。
「28、29、30。これより索敵を開始します」
きっちり数えて30秒。
ローワンは閉じた瞼を開くと、そのまま眼球に青緑の光を灯した。
「生体センサー起動。確認。……クリア。一階に敵影なし」
その場でくるりと一回転し、一階に人間が存在しないことを確認する。
それを終えると、彼は次に頭上を見上げてまた一回くるりと回った。
「二階寝室、二階子供部屋に反応あり」
反応は二つ。このいずれかがダリルということになる。
ローワンはそれを確認すべく、瞳の光を薄紫に変えてまた一度頭上を見た。
「反応と登録データを照合。……寝室の反応を家政婦と確認。これを除外。……子供部屋の反応をダリル・ヤンと確認。捕獲対象と認定。これより確保に移る」
相手の位置はわかった。あとは捕まえるだけだ。
ローワンは瞳に赤い光を灯し、二階へと続く階段をゆっくりと上り始めた。
ぎしり、ぎしりと床が鳴る。
寝室を通り過ぎ、突き当たりの子供部屋の扉を開く。
「対象の心拍数増加。反応増大」
ダリルの緊張が、ローワンには手に取るようにわかった。
そしてその発信源も、彼には簡単に見付けられた。
「赤外線カメラで確認……ベッドの下に敵影を確認」
綺麗に整えられたベッドの下に、這いつくばる人影が見える。
ローワンはその前に膝をつくと、ベッドの下を覗き込んで言った。
「みーつけた」
発見までの時間、僅か1分。
当然ダリルは憤慨した。
「ずるいよ!センサー使うの禁止!やり直して!」
ベッドの下からローワンの顔を蹴り飛ばし、甲高い声で彼を叱り飛ばす。
ローワンはそれにこくりと頷き、
「センサーは禁止。わかった。やり直そう」
素直にダリルの要請を受諾した。