倉庫 TOA
□小ネタ
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■今日は何の日フッフー♪
【11月8日 刃物の日】
ヴァン先生との稽古はいつも木刀だった。
心配性の母上が、真剣はあまりに危険だと泣き付いたからだ。
先生も父上もガイも本物の剣を持っているのに、俺だけは絶対に持たせて貰えない。
それが悔しくて、ある日俺はこっそりと兵器廠に忍び込んだ。
「どうせうちの所有物だし、ちょっと拝借したって問題ないよな」
数ある剣の中から、選んだのは片刃剣。
初めて持った真剣は、木刀よりずっと重く感じられた。
キラキラと光る刀身に、俺の目もつられて輝いた。
「スゲェ……。カッコイイ」
新しい玩具を手に入れた時のように、俺の心は興奮で満たされていった。
そして同時に、これを使ってみたいという欲が湧きだした。
何でもいい。これで斬ってみたい。
草を、木を、虫を、動物を、
人を
はっとした。
「俺、今、何考えてた……?」
自分の考えにぞっとした。
人を、斬りたいだなんて。
怖くなって、慌てて剣から手を離す。
ガラカラと鳴って、剣は床を転がった。
自分を笑われたようで、俺はそのまま逃げ出した。
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子供に剣はまだ早い