倉庫 GC

□土産話を聞かせよう
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その少し前、当のローワンは作戦の準備に忙しなく走り回っていた。
時計を見れば、そろそろダリルの戻る時間。労いに飲み物の一つでも持って行きたいところだが、あと少しのところで最終確認が終わらない。
抑えきれない溜め息を溢し、ローワンは眉を寄せて目頭を揉んだ。

「臍を曲げてないと良いが……」

偵察に赴く直前まで、ダリルの機嫌はすこぶる悪かった。
単身偵察に行かされることもそうだが、学生服を来て有象無象の中に紛れることが不満らしかった。
さっさと潰せばいいのにとは、いかにも彼らしい物言い。
きっと今も荒々しい様相でいるのだろうと、彼は微かに苦笑を浮かべた。

『最終確認、終了しました』
「了解。ご苦労だった」
『はっ』

数十分の後、モニターの向こうで兵士が敬礼を返し、回線が切れる。これでようやく仕事は終わりだ。
ローワンはモニターの電源を落とし椅子から立ち上がった。
時計に目を遣れば、長針は既に頂点を通り過ぎている。ダリルはとうに戻っているだろう。
帰るまでに見付かればいいが、と彼は早足で部屋を後にした。
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